漢方医学は、感情のコントロールと食事が中心。養生。
自分の体については自分が主治医
自覚症状に注意を払い、自分で経穴ツボを押して、カラダの表面に現れたサインを速くキャッチする。
漢方の特徴
同病異治…同じ病気でも、患者さんの症状に合わせて薬を変え、異なる治療を行う
異病同治…ひとつの薬が異なる病気に効果がある。それぞれの生薬のもつ複数の成分の相乗効果で、多方面の薬効を表すことができる。
■月経痛・月経不順
不調の原因が心理的なストレスや冷え、水滞等の場合は漢方の治療で症状が軽快することがある
月経トラブルは、瘀血を伴なている場合が多い。
◆ツボで改善
・れいこうー下腹部の痛み月経に伴う急性の痛みに効果
・三陰交ー月経の痛みに対して予防的に使われる。婦人科系の症状全般
・大巨だいこー月経不順や痛みに効果。下痢や便秘改善にも。
◆食事
月経トラブルに冷えは大敵。カラダを内側から温めて、血と気を補い、めぐりをアップ。
●血液の循環を改善
納豆、黒豆、栗、オクラ、玉ネギ、パセリ、うなぎ、鮭、サンマ、ししゃも、牛肉、酢、黒砂糖
●瘀血による痛みを解消
ニラ、三つ葉、グレープフルーツ、黒砂糖、酢、カカオ、紅花
●血を補う
黒ゴマ、黒豆、キクラゲ、ホウレン草、イカ、うなぎ、タコ、ヒジキ、烏骨鶏の肉、牛や鶏のレバー、鶏卵
■風邪の症状、体質別
◆漢方処方
●葛根湯かっこんとう
7つの生薬(葛根かっこん麻黄まおう桂皮けいひ芍薬しゃくやく大棗たいそう生姜しょうきょう甘草かんぞう)
比較的大量のある人の風邪の引き始めで寒気、発熱、頭痛、首や肩のこわばりがあり、まだ汗が出ていない
(その他の治療、肩こり、扁桃炎、中耳炎、乳腺炎、神経痛)
●桂枝湯けいしとう
風邪の初期で寒気、発熱、頭痛、首や肩のこわばりがあり、体力が低下して自然に汗が出る場合
●小柴胡湯しょうさいことう
風邪が長引いて、食欲不振、吐き気を伴う場合
●香蘇散こうそさん
虚弱な人や胃腸の弱い年寄りの場合
●麻黄湯まおうとう
インフルエンザ。悪寒や関節の痛み、咳を伴う風邪
麻黄による副作用に注意
◆ツボで改善
・引き始めに効果、悪化を防ぐ、解熱の名穴
大椎だいつい
・喉の機能を改善
照海しょうかい
・長引いた風邪、喉の違和感や痛み、しゃっくりが止まらない
◆食事
カラダを温め、肺をうるおす食材を取り入れる
●カラダを温めて風邪に対抗
シソ、生姜、長ネギ、コショウ、黒砂糖、唐辛子、八角
●咳を止める
アーモンド、銀杏、カブ、生姜、ニンニク、百合根、梅、梨、海苔、蜂蜜
寒気のする風邪には、お粥にネギ、皮付き生姜が効果的
■尿トラブル
◆漢方処方
・尿が出にくい方の排尿痛・残尿感に
「猪苓湯」
・排尿時の尿道の痛み、残尿感のある方に「竜胆瀉肝湯」・尿に時間がかかる、夜中のトイレに「八味地黄丸」
◆食事
土鍋煮込み 冷えて尿トラブルのあるタイプの人の体は、たとえ夏でも「温める」必要があります。そこで、夏なのに「土鍋煮込み」を作ってみました。特に現代人は、夏でも「クーラー」「冷たい飲食物」など「体を冷やす邪気」にさらされ続けます。普通の人であっても、夏バテ解消に土鍋煮込みはおすすめです。ぜひ、アツアツで召し上がってください。
ブロッコリーには、排尿を支える「腎」を中心に「体全体」を強める作用があります。ただし中国医学は「ただ何かを強める・補う」という方法を嫌います。補ったものが停滞する恐れがあるからです。そこで停滞を防ぐために、たとえば「血を補ったら血を動かす」という薬の合わせ方をするのですが、ブロッコリーはこの「動かす作用」も同時にもっている食材です。つまり単独で「補いながら動かす」ことができる、とてもバランスのよい食材といえます。
「赤ワイン」「動かす作用」をもたせるため「赤ワイン」を使いました。相性バッチリの「ぶどう」と合わせた夏らしい1品です。
「菊花(菊の花)」漢方では「泌尿器も肝と関わる」ので、肝の領域の湿熱の停滞は、尿トラブルとして現れることもあるのです。そして菊花は、「肝の熱」に対する清熱作用をもちます。
「3種の豆」黒豆小豆緑豆豆類には概ね「体内の毒を尿から排出させる作用」があります。そしてこのメニューで使われている3種の豆は、紀元前の中国で使われていた「三豆飲」という「天然痘」を治療する際にも使われたと言われています。つまり3種の豆の「豆ごはん」は、三豆飲の「ごはんバージョン」といえるものです。
「蛸(たこ)」中国医学は肝を「肝という肉の塊=陰」「肝を動かすパワー=陽」と分類します。そして肝を治療する際には、肝の「陰と陽」を両方強める必要があると考えます。このメニューで使われている「蛸、ひじき」は、肝の陰を強める作用をもつ食材です。そして「セロリやトマト」は肝の陽を強めています。
「しじみ」昔は夜泣きや癇癪をおこす「疳(かん)の虫が強い子」には「貝の味噌汁」を飲ませろと言いました。中国医学から見るとこれらの症状は「肝の気のたかぶり」と関係していることが多く、貝殻には「肝のたかぶりを鎮める作用」があるからです。このメニューでは「しじみ」を使い、この作用を真似しています。
「鶏手羽」白菜・セロリ・ズッキーニなど利尿作用のある食材で、体内の熱や余分なものの排出を促します。ただ、正常な水分までも排出されてしまうのを防ぐために体を潤す鶏手羽を使っています。
「あさり」利尿作用をもつ食材を「わかめ」と合わせ、「体内の熱や毒を尿から排出する作用」を生み出しています。また利尿、つまり「出すだけ」では体が消耗してしまいますが、ここでは「お米」がもつ「気を補う作用」がスタミナ補給の役割を果たしてくれます。
豆もやし体の中に停滞した「熱をおびた湿(水)」を排出してくれる作用があります。たとえば「お酒」も、中国医学では「熱をおびた湿」です。そこで「豆もやし(特に緑豆のもやし)」は、二日酔いの解消にも使われます。
豆乳とは「利尿作用をもつ飲み物」です。つまり飲み物という「液状」になっていることで、利尿をしながら「潤いを補給する」ことができる食材といえます。一緒に使われている「はまぐり」や「セロリ」も、利尿作用をもつ食材です。また豆乳にはもう1つ、排尿によって消耗する「気の力」を補う作用もあります。
■むくみ
体内に余分な水分が増えた状態をむくみ(浮腫)という。体重が増えると同時に、まぶたが腫れぼったい、足首やふくらはぎが太くなるなどの異常がみられる。
(症状別)
・最初に顔がむくみ、全身にひろがる場合、腎臓病の可能性が高く、急性腎炎、ネフローゼなど
・足がむくみ始める場合は、心臓病、低たんぱく血症、肝硬変、腹膜炎
・妊娠後期は、全身、特に足がむくみがひどく、よく眠った翌朝にも見られるようなら、妊娠中毒症のおそれ
・更年期障害のようなホルモン異常など
・肝臓病の腹水、たんぱく質不足による栄養失調
以上のむくみは、指で押すと水分が移動してくぼみができる。
・押しても凹まないむくみは、甲状腺機能低下症や薬の副作用など
・長時間が立っていたときのむくみは異常ではない。
足のむくみには、心臓病の原因が考えられ、早期発見が望ましい。むこうずねを30秒押し、凹みが残る時は、むくんでいる証拠。靴がきつくなるのもサインのひとつ。
(対策)
むくみのあるときは、水分と塩分を控え、尿をたくさん出すために利尿作用のある食べ物をとる。
症状が重い場合は、医師の診断が必要。
◆食事
●あずき 強力な利尿作用があり、さまざまなむくみに著しく効果をあげる
薬効を第一に考えるときは味付けなしで、アク抜きもしない。
ごはん代わりに食べるとむくみが取れ栄養失調によるむくみにも最適
○あずきの煎じ汁
1日3回分
あずき 30g大2
水 600ML3カップ
弱火で煮込む 半量になるまで煎じる
汁を3等分し、1日に3回空腹時に飲む